京都。かつて千年もの長い間都であったこの地では、古くから日本のさまざまな文化が生まれ、出会い、発展してきました。料理、建築、茶道、華道、工芸……。現在海外において紹介される日本の洗練された伝統文化の多くは、京都でその形をなしたと言っても過言ではないでしょう。
京都を代表する伝統工芸のひとつである京焼・清水焼は、日本の数ある焼き物の中でも極めて特徴的な位置を占めています。それは一見すると同じ産地から生まれたと思えないほどに多様でありながら、しかし一様にして洗練された美意識と卓越した技術に裏打ちされています。
巧緻な絵付けが隅々にまで施されたもの、大胆な釉薬の重なりが自然の雄大さを感じさせるもの、思いがけない絵柄や色の組み合わせが想像力を掻き立てるもの――。目の肥えた京都の町衆や料理人、茶人の多様な要望に応えるべく、京の職人たちは技と知恵を惜しみなく注ぎ込んで、実に豊かな表情を持った陶磁器を数多く創り出してきました。またそれは同時に、窯を何度も行き来させながらいくつもの工程を重ねて完成させる独自の生産形態も築き上げてきました。
京焼・清水焼は1977年に国より伝統的工芸品指定を受けるとともに、現在も広く日本の暮らしを華やかに彩っています。
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