かたちの種類

京焼・清水焼の機能とかたち

日本の器には用途によって形の異なるさまざまな種類があります。それらは決して「ルール」ではありませんが、それぞれの特色をご理解いただくことで、京焼・清水焼の世界をより深くお楽しみいただくことができるでしょう。



抹茶碗
主に茶の湯の席で用いられる、抹茶を点てて飲むための茶碗。
茶の新芽を精製して粉末にした抹茶を入れ、湯を注ぎ、竹の茶筅で泡立つほどに混ぜて、直接そのまま飲みます。抹茶碗は茶を飲む器であると同時に、茶を点てるための器でもあります。
抹茶碗と一言で言ってもその形状はさまざまで、季節や趣向に応じたものが用いられます。例えば、飲み口が狭く茶が冷めにくいものは冬に、広く冷めやすい平茶碗は夏に使われます。もちろん形だけではなく、絵付けの色や文様、重さ、手触りなどを考慮して、その時々にふさわしいものが選ばれます。
京都においては、17世紀初頭に茶の湯を代表する三つの流派(表千家、裏千家、武者小路千家)が生まれ、時を同じくして多くの窯が興りました。そして、その道を極めた茶人たちや目の肥えた町衆らの高い要望に応えるべく、多くの職人たちが実に多様かつ洗練された抹茶碗の数々を生み出しました。
京焼・清水焼の抹茶碗は、まさに京都の豊かな文化の粋を集めた器だと言えるでしょう。



湯呑茶碗・汲出し碗・煎茶碗
茶の湯の席で用いられる抹茶碗以外にも、茶碗には、円筒形で縦長の「湯吞茶碗」、広口で丸い「汲出し碗」、煎茶道で使う「煎茶碗」など、さまざまな種類があります。
湯呑茶碗は、現在も日本の家庭で広く使用される茶碗です。平安時代に中国から茶とともに伝来し、江戸時代には庶民にも定着しました。家族ひとりひとりが専用に使う属人器であり、夫婦それぞれで使う「組湯吞」などがあります。保温性に優れているため熱いお茶を飲むのに適し、六部程度まで注いで上部の熱くない部分を持ちます。
汲出し茶碗は、湯呑よりも格式が高いとされ、一般的に茶托を敷いて来客用として用いられます。江戸時代後期に京都で煎茶が流行した頃、口広で背も低いためお茶の色がよく透けて見えると、広まりました。
煎茶碗は、汲出し茶碗を小さくしたもので、一煎目、二煎目、三煎目と風味の変化を楽しむのに適し、煎茶道でも用いられます。



飯碗
日本の食卓には欠かせないお米を盛るための碗です。蓋付きのものから、背が低く口の広いものまでさまざまですが、手に馴染む形が好まれます。日本では新しい夫婦に大小二つで一組になっている「夫婦茶碗」を贈る風習があります。




薬味を盛る小皿から、大人数で取り分ける大皿まで、さまざまな大きさがあります。日本料理はもちろん、西洋料理、中華料理にいたるまで、さまざまなお料理にお使いいただけます。



角皿
四角い皿。日本の家庭では焼いた魚をそのまま盛りつけるため横に長いものがよく使われます。丸い皿と組み合わせて使うとアクセントにもなり、テーブルコーディネートの楽しみも広がります。




ボウル。汁気のある料理や麺類、茶の湯の席で菓子をいれる菓子鉢などに用いられます。またフルーツの盛付けなどにも最適です。