絵付けの種類

異なる技術を用いた表情から生まれる奥深さ

京都の豊かな文化が育んだ京焼・清水焼。その奥深さは、それぞれに異なる技術を用いつつも一様に洗練された絵付けから見て取ることができます。季節や場面に合わせて選んだり、また絵柄の違うもの同士を組み合わせるなど、楽しみ方は無限です。



染付
磁器の素地に青藍色の顔料を施した陶磁器。幾何学文様を表した「祥瑞」、自然の風景を描く「山水」など、純朴ながらも豊かな想像力を掻き立てる深い味わいが魅力です。



描詰
精細な文様が素地を埋め尽くすように描かれた陶磁器。高い技術と膨大な手間を要し、その鮮麗な佇まいは京焼・清水焼のひとつの極みとも言われています。



色絵
白い釉薬を塗って焼成した後、さらに彩釉を用いて絵付けを施したもの。江戸初頭に京都で技法が確立。色彩に富み、四季の草花を描いたものなど、京焼・清水焼の華やかさを象徴する絵付けです。



金彩
色絵のなかでも、とりわけ金の絵付けが施されたもの。
草花などの図案の一部や、連続する細かい模様などが描かれ、いっそうの優美さをたたえます。



交趾
粘土を絞り出して文様を描いた素地の上に、鮮やかな色釉を盛るように厚くかけたもの。立体的で重厚な絵付けは他にはない迫力があり、独特な手触りも楽しめます。



金襴手
赤絵・色絵の上に、さらに金彩を施して焼き上げたもの。
通常よりさらに窯を多く通ることとなり大変な手間を要しますが、まさに豪華絢爛な輝きは格別です。



赤絵
色絵の中でも赤色を主調とした彩色を施したもの。染付のような文様を赤の釉薬で描いたものや、中国明代の万暦窯で産まれた文様など、伝統的な絵柄が多く用いられています。



三島
細かい花などの文様を型押し、上から白色の土を象嵌した陶器。素朴ながらも、指先で感じる文様の凹凸が温かみを感じさせます。



楽焼
手とへらだけで作られた歪みと厚みのある素地に、釉薬を厚くかけて焼いた陶器。主に茶の湯の席に用いられ、無骨さの中に四季の移り変わりや自然などを映し出します。



天目
鉄分を多く含む釉薬がかかったもの。窯の中で釉薬が変質することで、油の雫のような斑点や、稲穂の毛のような細い筋など、多彩な表情が現れます。



鉄釉
鉄分を含んだ釉薬で焼かれたもの。鉄分の含有量や不純物の量に応じて、黒、褐色、茶、黄、青など多彩な色を呈し、また質感も異なります。



焼〆
高温で長時間かけて焼き上げたもの。土のような素朴な表情を持ちつつ気孔性がなく丈夫。長く使い込めば使うほど艶が生じ、より深い風合いが生まれます。