製造工程と技法

京焼・清水焼が生まれるまで

多様な顔を持つ京焼・清水焼は、それぞれに異なる工程を重ねて生まれます。その大きな特徴は、いくつもの窯を行き来しながら複数の職人の手が加えられる点です。それぞれの工程を熟練の職人が手がけることで、より完成度の高い洗練された器が作られます。



成形
よく練り込んで均質になった土で、器の基本的なかたちを作ります。ロクロを使用する場合が多いですが、楽焼のように手びねりで作ることもあります。



削ぎ
成形した生地は、数日間陰干しにした後、金属のへらで削り、より精密にかたちを整えていきます。高台や意匠上の筋なども、削り出しによって作ります。



下絵付け
素焼に「呉須」と呼ばれる藍色の顔料などで絵付けを施します。下絵は筆の運びが難しく時間が掛かるため、とりわけ精細な図案の場合は、豊富な経験と熟練の技を要します。



釉がけ(施釉)
素焼もしくは下絵付けを施したものにひとつずつ釉薬をかけます。釉薬には透明なものから、焼き上げ後にさまざまな色や質感が現れるものまで多くの種類があり、またかける厚さによっても異なる表情が生まれます。



上絵付け
釉がけの後に焼成して艶の出た表面に、さらに色釉で絵付けを施します。豊かな色彩と精細な描画が可能で、四季の草花や風景などを華やかに描きます。職人の表現力が大きく問われる工程です。



窯入れ(焼成)
窯入れは使用される釉薬や求める風合いによって温度と時間を細かく調整します。また金彩や銀彩を施す場合、絵付けと窯入れを何度も繰り返すため多くの手間と時間を要します。